以前は虫歯や歯周病などで歯が抜けるとブリッジや入れ歯しか手段がありませんでしたが、現代は審美性にも優れたインプラントという治療法が徐々に浸透してきています。歯が抜けてもまるで自分の歯でものを食べられる感覚は大きな利点です。
ここではインプラントと入れ歯の違い、そしてインプラントのメリットとデメリットについて解説します。
インプラントと入れ歯の違い
インプラントは、むし歯や歯周病で抜けた歯の顎の骨の部分に外科手術を行って人工的に歯の根を顎の骨を埋め込み、人工歯を装着して噛む機能を回復させた治療です。
顎の骨に埋め込まれたインプラントに人工歯を取り付けます。考え方では、歯の根を作って差し歯にしたという感じといえば理解しやすいかもしれません。
インプラントに対して、従来の入れ歯というのは、歯の根がなく、失った歯の部分に取り外しのできる義歯をはめるというものです。
入れ歯は失った歯の機能の回復させる一般的な方法ですが、インプラントに比べると嚙む力や、かみ合わせの悪さから活舌が悪くなるなどの問題が起こりやすくなります。
入れ歯同様に抜けた歯の後の回復方法に、ブリッジという方法があります。これは失った歯の隣の歯にフックをかけて人工歯を補足する治療法です。ただ健康な隣の歯を削らなければならないというデメリットもある治療法となります。
インプラントが日本でブームとなったのは1983年、ちょうどバブル期のさなかです。歯が抜けてしまったことで、ものが噛めないなどとあきらめていたことが、この治療によって自分の歯がよみがえったような形になり、生活を取り戻せたと喜ばれたのがインプラントです。
インプラントのメリット
インプラントとは抜けてしまった歯の後に、顎の骨に人口の歯の根を埋めてそれを土台に歯を創る、いわば差し歯の人工的な土台作りです。入れ歯より噛み心地がよく見た目もきれいな歯に見えます。
健康な隣の歯を削らなくても済む
たとえば虫歯や歯周病で歯が抜けてしまい、それを補うためにブリッジにした場合、隣の歯を削ってフックをかけなければならないので、ブリッジを支える歯に負担がかかってしまいます。
またブリッジは支える歯がなえればできません。その点インプラントは隣の残存歯に負担をかけることはなく、1本から治療が可能です。
歯本来の機能性がある
インプラントの治療をすると、自分の歯がよむがえったように歯本来の機能性を実感できます。たとえば下記のように、まるで自分の歯であるかのように、歯が抜けても歯本来の機能が取り戻せるのがインプラント治療のメリットです。
- ものを噛んだ時に自然の噛み心地でいられる
- 歯ごたえのあるものが食べられる
- バランス良く噛めるため、残存歯で無理に噛む必要がなく、自分の歯を長持させられる
インプラントは入れ歯のように、取り外しの面倒な動作がなく口の中にものが入っているという違和感もありません。そのため発音が安定し活舌もよく会話が楽しめます。
機能性にも関係することですが、違和感がなくしっかりとものを噛めるので健康にも効果的です。
審美性にとても優れている
入れ歯やブリッジよりも口元がきれいに見え、笑うこともより楽しくなります。インプランはいわゆる差し歯の土台のようなものであるため、かぶせる人工歯の質が高くなると歯の色もきれいに揃い、歯の審美性にも効果があります。
インプラントのデメリット
インプラントのデメリットは治療に保険が使えないため、治療費が100%自費となり高額である点です。
費用が高い
インプラントにかかる費用は、主に以下のようなものが挙げられます。
- 診断料
- 埋め込み手術費
- 上部構造（人工歯）の手術費
これらの費用を自費で払います。合計するとおよそ1本に付き30～40万円です。ただし費用は歯科医によって価格が違うので一概には言えません。これはおおよその価格です。
ただ最近になって、外傷や腫瘍等の病気で顎骨を失ったり、その部位に骨移植する際に生まれながら歯や顎骨を欠損したりする場合に限って、インプラント治療に保険が適用されることになったのです。
治療前の検査やインプラントを埋め込む手術、また上部の人工歯の治療を含めて、全て治療が済むまでに必要な治療費について、きちんと説明を受けて確認してから治療を受けるようにしましょう。
治療期間が長い
インプラントをする場合、「インプラントを顎の骨の中に埋め込む手術」「インプラントの頭の部分を歯肉の上に出す手術」という2回の手術をしなければなりません。
たとえば１度目の手術で骨の高さが足りなかったり骨に幅がなかったりすれば、口腔内や顎の骨などから骨を切り取って継ぎ足してあげなければなりません。そのため治療期間がもっと長くなる場合があります。
日頃のケアも大切
インプラントとは、簡単にいうと歯の根を作り差し歯にするようなものです。ものを噛めば欠けることもあるし、人工歯が取れてしまう場合もあります。
また不潔にしているとインプラントの周囲の粘膜が炎症を引き起こす心配もあり、インプラントにしたからといって、自分の歯と同じように歯科医で定期的にクリーニングをするなどメンテナンスしなければなりません。
日頃の歯磨きやクリーニングをきちんと行い、自分の歯と同じようにお口の中を管理してください。
まとめ
歯は大切なものです。硬いものが食べられない入れ歯は生活の質を下げてしまうことにもつながります。メリットの大きなインプラントですが、気になるのは費用が高額だという点です。歯が抜けてしまったら歯科医師とよく相談して費用を考えながら、いつまでも美味しく楽しく健康に食べ物を味わいたいものです。
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